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顕微授精時の紡錘体観察について

顕微授精では、実施前に卵子の成熟判定を行い、成熟している卵子(MⅡ卵ともいいます)に顕微授精を実施しています。
卵子の成熟確認は、通常、第1極体の有無により判定しています。

一方、通常の顕微鏡では観察することができませんが、特殊な装置を用いることで、卵子の紡錘体を観察することができます。
以下の写真では、第1極体付近に紡錘体を確認できます。

通常の顕微鏡で観察した成熟卵。

通常の顕微鏡で観察した成熟卵。

特殊な装置を用いて観察した成熟卵。

特殊な装置を用いて観察した成熟卵。
第1極体付近に紡錘体が確認できます。

紡錘体は、細胞分裂時に染色体をそれぞれの細胞に分配するために必要な構造です。
紡錘体は、多くの成熟卵子で第1極体付近に存在しています。しかし、卵子によっては、極体から大きく離れた場所に位置することがあります。そのような卵子では、紡錘体の位置を確認せずに顕微授精を実施した場合、紡錘体を傷つけてしまう恐れがあります。紡錘体に傷がついてしまうと異常受精や分割が起きない原因にもなります。

通常の顕微鏡で観察した成熟卵。

通常の顕微鏡で観察した成熟卵。

特殊な装置を用いて観察した成熟卵。

特殊な装置を用いて観察した成熟卵。
極体と紡錘体が大きく離れています。

当院では、全ての顕微授精において、特殊な装置が組み込まれた顕微鏡を使用し、紡錘体の位置を確認してから実施しています。

また、第1極体がある成熟卵子でも、紡錘体が観察できないことがあります。
紡錘体が見えない卵子に対する顕微授精の受精率は、見えている卵子に対して有意に低くなることが報告されています。
紡錘体が確認できない卵子でも、数時間培養した場合に紡錘体が確認できることがあります。そのため、最初の成熟判定時に紡錘体が観察できない場合は、数時間培養後に顕微授精を実施しています。
数時間培養後でも、紡錘体が確認できない場合もあります。

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